金木犀のせいだよ

2007年10月7日
甘い匂で歯が痛い

金木犀のせいだよ

金木犀のせいなの?

こんな会話、山田詠美の小説にあった気がする。
甘い匂いでエナメル質が疼くんだね。きっと。
僕は舌が痺れるよ。

麻痺してゆく感覚。
死体はきっとこんな匂いがするんじゃないかな。

桜の季節にも同じことを思うのだけれど。

満開に咲いた花々から毒々しい狂気が夜に溶け出す。
抵抗なんてできないから、ゆっくりゆっくりほら、中毒になる。

一体どこまで侵された?

指の先は痛々しいオレンジに染まったね。
次は、喉かな。

飽和してる。
臨界点まで溶けて溶けて溶けて
密度が高いからすぐ。


ここ三日間くらいずっとこんなことばかり考えている気がするけど
それも全部、金木犀のせいだ。

アスファルトに落ちたちいさな細胞達の腐乱。ほら、やっぱり死体。


死臭に満ちた空気を吸ってすこし元気になった僕は
今夜も電子ピアノで虚ろな夢をみる。

 

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